カメラータの8月新譜(7月25日発売)4タイトルをご紹介いたします。
1枚目は『キング・オブ・クラリネット~カール・ライスターの軌跡』(CMCD-99071~2)です。今年で75歳を迎えた名クラリネット奏者、カール・ライスター。その記念盤として、30年以上にわたりカメラータから発売されたアルバムの中から、ライスターが自ら選曲したベスト盤がリリースされました。収録曲は、ロマン派の名曲から現代作品まで多岐に及び、タイトルどおり“キング・オブ・クラリネット”の活動の変遷を辿ることができます。往年の名演から円熟味を増した近年の録音まで、クラリネット奏者の教本ともいうべき必聴盤です。
2枚目は『ドゥセク:グランド・ソナタ(フルート、チェロ、ピアノのための三重奏曲)他/フォゥグ・浦田陽子、ダナイローヴァ 他』(CMCD-28262)です。ヨハン・ラディスラウス・ドゥセク(ヤン・ラディスラフ・ドゥシーク)没後200年にあたり、ドゥセクのピアノを中心とした室内楽作品を収録しました。ピアノ四重奏曲は、ウィーン楽友協会提供の出版譜で録音が実現。これまでにフンメルやリースのピアノ五重奏曲を収録してきたフォゥグ・浦田陽子を中心に、ウィーン・フィルの女性コンサートマスター、アルベナ・ダナイローヴァ、ソロ・フルーティストのワルター・アウアー、ヴィオラには、オクセンホファーの愛弟子ロベルト・バウアーシュタッター、そしてコントラバスのイェルジ・デュバール、チェロのベルンハルト・直樹・ヘーデンボルクが集まり、ウィーン・フィル伝統の室内楽の醍醐味をたっぷりと聴かせます。
3枚目は『シューベルト:八重奏曲 D.803[ピリオド楽器使用]/アンサンブル・プリズマ・ウィーン』(CMCD-28276)です。アンサンブル・プリズマ・ウィーンは、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのメンバーであるトーマス・フェオドロフ(ヴァイオリン)を中心に結成された古楽器の小編成アンサンブルです。元ウィーン・フィルの首席フルート奏者ヴォルフガング・シュルツの娘ヴェロニカ・シュルツ、モザイク・クヮルテットのアニタ・ミッテラー等が弦楽器パートをしっかりと固め、さらにホルンにヨハネス・ヒンターホルツァー、クラリネットにゲオルク・リードル、ファゴットにファイト・ショルツ等一流の演奏家たちが揃った、まさに古楽器のスーパー・アンサンブルです。古楽器によるシューベルトの八重奏曲は、ふくよかで柔らかく、優雅な雰囲気をたたえた魅力的な名演。有名な軍隊行進曲も古楽器により味わい深い音色でお聴きいただけます。
4枚目は『奇蹟の歌 栗本尊子』(書籍付きCD)(CMBK-30001)です。栗本尊子(メゾ・ソプラノ)は1920(大正9)年生れ、現在92歳。1946年にオペラ『蝶々夫人』スズキ役でデビューし、日本オペラ界を牽引してきた歌手です。現役の歌手として、今もステージでその奇跡的な歌声を披露し続けています。栗本尊子の歌手人生は、まさに戦後日本の歩みと重なり合い、激動の時代を生き抜いてきました。
冊子(四六版サイズ/80ページ)には、92歳を迎えた栗本尊子が、みずからの歌手人生、今は亡き日本を代表する作曲家たち、往年の名歌手や映画スター、歌舞伎俳優等の出会いやエピソードを語ったインタビューが収められ、さらにCDには栗本尊子の美しい奇蹟の歌声が収められています。
先日(7月19日)には今回の書籍付きCDの発売記念として、銀座ヤマハホールにてリサイタルが開催されましたが、チケットはすべて売り切れとなり、満場のオーディエンスは衰えを知らぬ栗本尊子の歌声に魅了されました。「栗本尊子の声は、日本音楽界の奇蹟です!」(故・畑中良輔氏)と絶賛された“奇蹟の歌声”をぜひお聴きください。