レコーディング・ニュース(2012年6月/ドイツ)

バッハ:18のコラール集
2012年6月26~29日/ゴスラー(ドイツ)

 バッハのオルガン作品を連続して録り続けている松居直美の最新録音は、6月26日から29日までの4日間、南ドイツはハノーヴァーから100Kmほど東南に行った、世界文化遺産の街でも知られるゴスラー(Goslar)の郊外のStiftskirche St. Georg Grauhofという教会で行なわれた。
 収録された曲目は、俗に “18 Choral” と言われるライプツィヒ時代の作品で、承知のようにバッハのオルガン曲の創作が最も充実していたのはヴァイマル時代で、その代表的な作品はオルガン小曲集 (Orgelbüchlein) としてバッハ自身が命名してまとめられている。
 BWV651-668 の18曲から成るコラールは、今日 BWV668 が17曲のコラールと同じ楽譜帳の最後に書かれていて、それはバッハが失明して友人(娘婿のアルトニコルと言われている)に口述筆記させたものと伝えられている。
 従って今日では「17のコラール」と、この最後のコラールを別枠として作品を扱っているようだが、あえて「18のコラール」として、まとまった形で収録した。
 プロテスタントの教会ばかりが目立つドイツの中にあって、この教会は修道院の設備を持ったカトリック教会で、オルガンは1734年から1737年にかけて、マグデブルグのオルガン製作者、クリストフ・トロイトマン (Christoph Treutmann) によって作られたもので、42のレジスター、3500本のパイプ、3マニュアルという、かなり大掛かりな北ドイツ特有のバロックオルガンである。
 私は昔から、このコラールの中の第12曲目 “Allein Gott in der Höh sei Ehr” BWV662「いと高きところには神にのみ栄光あれ」が好きで、この曲を収録出来るだけでも幸せな時間を持ったと感謝して仕事をした。
 6月末というのだが、今年はドイツも寒い夏なのか、なかなか夏が来ないのか、特に教会の中は寒かった。


 松居さんの演奏は技術的には、何の問題もなく、堂々とした演奏で、マニュアルをチェックして声部のバランスを見て修正を少し加えながら、たっぷり時間を取って収録した。出来上がりが楽しみなレコーディングである。

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