レコーディング・ニュース(2012年4月~5月/スペイン)

 4月末から出かけたヨーロッパは、そろそろ春も本格的になっていいはずの時季。なおかつ、今回はウィーンではなくイタリアが録音場所。それも通常訪れているウンブリア州のウンベルティーデではなく、温暖地といわれるシチリア島のトラッパニーと、マジョルカ島のラ・パルマでした。ところが、季節とは関係なく、まさに寒い春という印象で、気候の予想違いで衣服の準備を間違ってしまい、苦労しました。

 

●クープラン:「諸国の人々」全曲/トーマス・インデアミューレ 他
2012年4月28日~5月5日/サンタ・マリア教会(マジョルカ島ビニサレム)

 録音会場となったサンタ・マリア教会は、正式には“Parròquia de Santa Maria de Robines, Binissalem”といい、ここの地名のビニサレム(Binissalem)は、イスラムの支配下にあったときにこの名に変わりましたが、それ以前は「Robines」と言ったので、教会にはその名前が残されています。
 録音には大きすぎず、小さすぎずちょうどよく、天井は高いがオーバーエコーにもなりません。インデアミューレが見つけてきたとのことですが、さすが録音慣れしているだけあって正しい判断でした。
 ここでインデアミューレの永年の夢であったクープランの大作「諸国の人々」全曲を録音するにあたり、彼はパリ国立歌劇場管弦楽団の首席オーボエ奏者である親友のジャック・ティースを招きました。さらにバルセロナからは、現在カールスルーエ音楽大学で教授になったばかりでインデアミューレの同僚であるファゴット奏者のダヴィッド・トーマスが参加しました。チェンバロにはラ・パルマの音楽大学でコレペティートルとして活躍している原田留美子さん、チェロにはスイスのチューリヒから若い美人チェリストのクララ・ローラ・ゴメスが加わり、4月28日~5月5日まで8日間、充分に時間をかけて丁寧にセッションを重ねました。

 インデアミューレは、1995年にオランダで我々とクープランの「王宮のコンセール」他全6曲からなる『コンセール集』を録音しリリースしていますが、1991年にスイスのレーベル「クラーヴェス」でも同じメンバーで『コンセール集』(全5曲)を録音しています。クラーヴェスのオーナー、マルグリート・デュッチュラー氏から、チェンバロを娘のウルスラ・デュッチュラーが演奏していることもあり、是非ともカメラータで2枚のディスクを組み合わせて発売してほしい、と依頼され、我々が原盤を購入する形で改めて全11曲の2枚組CDとして発売したことがあります。
 それ以来、「諸国の人々」の全曲録音はインデアミューレの夢で、「いつか親友のジャック・ティースを含めた最良のメンバーで、充分な時間をかけて録音したい」と語っていました。17年を経て、今回ようやくその夢を実現する機会が廻ってきた、ということになるでしょうか。

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