レコーディング・ニュース(番外編)


12年に渡ってカメラータのイタリア録音を支えてくれている 聖クローチェ美術館 (Complesso Museale di Santa Croce)

 イタリアの中央部、トスカーナ州の隣の、海がない州がウンブリアです。中心はペルージャで、その近くには、アッシジ、オルビェート(群馬県前橋市と姉妹都市)、フォリーニョ(群馬県渋川市と姉妹都市)というように群馬県と交流があります。


 そのペルージャから北に20数キロ行ったところに、ウンベルティーデという人口17,000人の古い街があります。街の中央をテヴィレ川が流れ、それはローマに通じています。この街はローマ時代に始まっていますが、12世紀にFratta Fortress という要塞ができて、今日の街の名前が確立されました。聖クローチェ美術館は、1998年までは聖クローチェ教会としての雰囲気と名前を残していましたが、その後、1474年にルカ・シニョレッリによって描かれた国宝の絵“Martyrdom of Saint Sebastian” を見に来る客が絶えないので、隣のサン・フランチェスコ教会にあるポマランチョによって1572年に描かれた“Virgin and Child in Glory among Angels and Saints” もここに移し美術館となりました。ここでいうSan Francesco はウンブリアでは有名なアッシジのそれではなく、南イタリアPaola のSan Francesco派の教会です。2011年にPaola の総本山へ行って録音をした時、初めてSan Francesco が2人いることを学びました。


 カメラータがこの教会で録音するようになったのは、2001年にレコーディングをしたヴィヴァルディの協奏曲集からで、それまでは“イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ”の録音も、ペルージャの教会を使って行っていました。
 ホール(教会)の容積は、紀尾井ホールの約3分の2くらいで、天井が高いところがよく似ています。残響は長めで2秒以上ですが、抜けが良く、演奏者も自分の音や仲間の音がよく聴けて演奏を助けています。僕たちは長年イタリアでも録音をしてきましたが、やっと理想の録音ホールを見つけたという実感で、ここでシュルツやトゥルコヴィッチ、ヒンク、トビアス・リーといったウィーンのアーティストとも多くのコンチェルトや室内楽を録ってきました。
 教会には常設のオルガンがあって、このオルガンを使ってクラウディオ・ブリツィは“Viva Verdi!” というアルバムを作成していますが、音程のついたカンパネラ(鐘)がオルガンにあって、それが今回収録したヴィヴァルディ:「四季」の冬の一曲目で活躍しました。
 ピアノ録音は初め残響が大きすぎるのではと危惧しましたが、Fazioliの最高のピアノをファクトリーから直送してもらってそれを活用し、優れた録音が提供できる自信がつきました。
 今回2012年11月は、最新モデルのピアノでシューマン、リスト、ドビュッシーのピアノ・ソロ作品をハイ・ビット/ハイ・サンプリングで録音することに成功。皆様の反響を楽しみに待っています。 

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