ウィーン・フィルの新しい顔、カール・ハインツ・シュッツと弦楽のトップ奏者、ダナイローヴァ、リー、ヴァルガの最高のメンバーによるモーツァルト「フルート四重奏曲」
昨年、悲しいことにヴォルフガング・シュルツというウィーン・フィルのソロ・フルーティストを亡くした我々は、シュルツとは果たせなかったモーツァルトのフルート四重奏曲の録音を、新たに彼のあとのポジションに座った、次世代の世界トップ奏者、カール・ハインツ・シュッツと今回初録音した。
ヴォルフガング・シュルツがこの曲をカメラータに録音出来なかったのは、元ウィーン・フィルのコンサート・マスターのゲーデが主催する弦楽四重奏団とこの曲を、ドイツのレコード会社に録音していたため、5年以内は再録音が出来ないという事によるものだった。そのかわりに、モーツァルトのオペラのフルート四重奏曲版(モーツァルトが生きていた時代にオーボエ奏者のヴェントが編曲したもの)を録音した。
今回の録音では、ヴァイオリンにウィーン・フィルの女性コンサート・マスターのアルベナ・ダナイローヴァを説得して、ヴィオラとチェロはシュルツの録音と同じ、トビアス・リーとタマーシュ・ヴァルガ。現在のウィーン・フィルでは、この作品を録音するのに最良のメンバーが集まったと思っている。
シュッツはオーボエ四重奏曲ヘ長調K.370をそのままフルートで吹くという。今までにこの曲をホフマイスターが編曲した版をシュルツと録音したことがあり、その譜面を借りてはいかがかと尋ねたら、「大丈夫、練習して高い音を克服したから。」と返事がきた。こうしてカール・ハインツ・シュッツの、私がプロデュースする初めての録音セッションが決定し、6月2日から4日の3日間、久しぶりにスタジオ・バウムガルテンに帰ってきてのレコーディングとなった。朝はオーケストラのオーディション、夜はオペラいうウィーン・フィルの日常生活の中で、お昼から夕方にかけてのセッションを2回。初日は朝10時から夕方6時までの2セッションと都合4セッション+数時間の余裕で4曲のフルート四重奏曲とオーボエ四重奏曲を収録した。
ともかく、この4人はみんな良く弾けるし、モーツァルトの素晴らしさも恐ろしさも、すべて良くわかっていて、どこも手抜きしないで大切、丁寧に演奏してくれる。話すことはアーティキュレーションでそれが明確に聴く側に伝わる演奏かどうか、fとpのダイナミックはモーツァルト自身が書いてないことも多く、それを徹底する色々なディスカッションをした。斯くの如く、和気あいあいの中にも真剣さあふれる楽しいセッションであった。
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