カメラータ・トウキョウ レコーディング・ニュース
 
フィルハーモニック・アンサンブル・ウィーン“モーツァルティステン”(指揮:ハンス・ペーター・オクセンホファー)
〜ウィーン・フィル・メンバーによるアンサンブル
  2008年3月11日〜13日 スタジオ・バウムガルテン(ウィーン)

 ウィーン弦楽四重奏団のヴィオラを担当するハンス・ペーター・オクセンホファーは、ウィーン大学の音楽コースでヴィオラの教授として後進の指導にあたってきたが、彼の弟子が今ウィーン・フィルの団員としてヴィオラ・セクションに9名を数えるのは驚異にほかならない。すでに名教師として誉れ高く、その中にはマルシュナーやバウアースタッターなど優れたフィルハーモニカーの若手がいる。
 そのオクセンホファーが若手の指導で「グスタフ・マーラー・ユーゲントオーケストラ」や「ニュー・ワールド・オーケストラ」等で振り始めた結果、指揮の仕事が増え始め、今回は1stヴァイオリン=4、2ndヴァイオリン=4、ヴィオラ=4、チェロ=3、コントラバス=1という編成の、ウィーン・フィル若手メンバーを中心に結成されたアンサンブル、フィルハーモニック・アンサンブル・ウィーン“モーツァルティステン”、いわばオクセンホファーの手兵と音楽上共感する仲間によるアンサンブルでの録音となった。
 このアンサンブルは、ただ録音のために集まったわけではなく、すでに活動は、フランツ・リストが生れたブルゲンラント州ライディングにある650席のホールを含む新しい施設「フランツ・リスト・センター・ライディング」で定期的な公演が行なわれる予定であり(ホールとプログラムはウェブサイトを参照)、これから東欧のツアーも計画中という。
 演奏は、さすがにウィーン・フィルのメンバー。アンサンブルも絶妙ならば、各奏者の気持をうまく集めるオクセンホファーの手腕も見事で、非常に自主的・民主的に運営されていると感じた。若いフィルハーモニカーには「オーケストラで自分たちでアンサンブルを作る、というウィーン・フィルの基本的な概念が最近はついつい忘れられがちなので、こうした小編成で演奏するのはよいトレーニングにもなる」とはオクセンホファーのコメントだが、ともかく素晴らしいアンサンブルの誕生を記念したレコーディングとなった。
 (井阪 紘)

 【曲目】
 シューベルト:5つのドイツ舞曲 D.90/5つのメヌエットと6つのトリオ D.89
 シューベルト(エルンスト・ヘス編曲):序曲 ハ短調
 ドヴォルザーク:セレナード ホ長調 Op.22

 【演奏者】
 フィルハーモニック・アンサンブル・ウィーン“モーツァルティステン”
 指揮:ハンス・ペーター・オクセンホファー
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オーケストラを前にしたオクセンホファーと井阪
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“モーツァルティステン”を指揮するオクセンホファー
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オーケストラを見事な手腕で導くオクセンホファー
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