カメラータ・トウキョウ レコーディング・ニュース
 
西村 朗:クラリネット協奏曲“ガヴィラ(天海の鳥)”
カール・ライスター、飯森範親、ヴュルテンべルク・フィルハーモニー管弦楽団
  2005年11月29日 ロイトリンゲン

 カール・ライスター、飯森範親、そして西村 朗。2003年、草津夏期音楽祭のオープニング・コンサートでこの3人は出会った。ライスターはリヒャルト・シュトラウスの若い頃の作品「クラリネットのためのコンチェルティーノ」を飯森範親指揮、群馬交響楽団によるオープニング・コンサートで協演。その時のもう1曲がトーマス・インデアミューレの独奏で西村 朗の「迦楼羅(かるら)」だった。コンサートの後のパーティーで私が紹介するまでもなく話が進んで、西村氏がライスターのためにクラリネット協奏曲を書きたいと話しだした。世界の盟主による初演は、作品のステイタスともなるが、保守的なライスターがどれだけ新しい作品に向き合うかが課題で、私は西村氏に『彼は完璧に吹かないと気がすまない人だから、重音とか特殊奏法を入れないでオーソドックスに書くなら大丈夫!』と保証したことを良く憶えている。
 そのような訳で、創作の過程で二人は会っている。西村氏がドイツ式クラリネットの理解を深めるために、いくつかの訂正、改訂が必要だったようだが、6月末に仮完成したクラリネット・パートを二人が幾度か日本で会って論議し、合意点を見つけだした。そうして、やっとこの初演とレコーディングにこぎつけたようだ。
 録音はいつものフィルハーモニーの練習場で11月29日の火曜に行われた。通常と違ってコンサートは前日、録音がその翌日というプランで、私は初演とそのG.Pに立ち会って作品の全体像を見通すことが出来、制作には大きな助けとなった。
 一言でいえば、ピアノ協奏曲「シャーマン」で見せた簡潔で無駄のない作り方が、今回のクラリネット協奏曲でも必要なものが必然として書かれているという、西村氏の新境地を見せた仕上がりを示し、予想以上に良い成熟を見た気がした。
 ライスターは10連音符も、12連音符も、完璧なタイムコントロールで見事に吹き分け、幾度もの来日で得たその感受性の上に立ち、作品の意味を完全に理解した名演を披露してくれた。2007年の「オーケストラのための協奏曲」を待って、3曲で1枚のCDになる予定である。

[★CDは2007年10月、CMCD-28147として発売]
西村 朗「天海の鳥」
初演を演奏したライスター 
西村 朗「天海の鳥」
 左から、西村、ライスター、飯森
西村 朗「天海の鳥」
初演のリハーサル 
西村 朗「天海の鳥」
 作曲家・西村 朗とライスター
西村 朗「天海の鳥」
 モニタールーム 
西村 朗「天海の鳥」
 左から、ライスター、飯森、西村
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