カメラータ・トウキョウ レコーディング・ニュース
 
パノハ弦楽四重奏団によるドヴォルジャーク弦楽四重奏曲の後期6曲の録音開始
  2005年6月8日〜12日 プラハ

 2年間とだえていたパノハ弦楽四重奏団のドヴォルジャーク弦楽四重奏曲の後期6曲シリーズの録音が再開。今回より彼らが過去に全曲録音したスプラフォンのスタジオを借りることに成功。このスタジオは1920年に建てられたが、ウィーンのカジノ・ツーガニッツを少し大きくした感じの建物で、ボールルームと言って良い。正面に小さなステージがあり、2階席はみんなが踊っているのが見え、食事をするテーブルも数多くある。世界大戦前のよき時代を彷彿とさせる。
 天井は高く残響も室内楽に最適で、道路より中に入った中庭を持つ建物故、ノイズが少ないのもレコーディングスタジオとしては最高!空路の下で時折飛行機の音に悩まされる以外は良い環境といえる。プラハの市街からは東北に2〜3Km離れたところで、近くにはバザールアーケードや工場がある。

 さて、今回のレコーディングはドヴォルジャーク後期の2曲。ドヴォルジャークの弦楽四重奏曲をパノハ弦楽四重奏団はすでに1983年から99年にかけてスプラフォンに全曲録音しているが、今回は再録音する訳だからそれだけの確固とした決意を持って取り組んでいる。我々は1日の録音を2セッション以上行わないで、演奏に集中しすぎて疲れた状態での録音を避けたが、さすがに手に入っている曲だけに完全に自分の音楽になっている。むしろ永年の習慣になっているものを洗い流して、もう一度楽譜とそれからの可能性を探す試みをさせたが、すぐにまたもとのもとの習慣に戻ってしまったり…と、私にとってはこれの方が苦労をした。でもスプラフォン時代と違って、安全よりは危険を冒してでも音楽を追究した結果、より良い演奏が録れたと自負している。
 それにしてもボヘミアの哀愁とも言えるもの悲しい旋律を心から歌って聴かせる彼らの演奏は聴き手の心を打つ。民族舞曲とも言えるドゥムキーなどはリズムの変化が絶妙で、そこに弓の毛1本で弾くようなピアニッシモのメロディーは、他のグループでは実現できない至芸とも言える演奏だ。ともかく私には色々とチェコの音楽と民族の血について感じることの多かったセッションであった。
 発売は10月の来日に間に合うと良いと思っているが、乞うご期待下さい!

[★CDは2005年10月、CMCD-28093として発売]
パノハSQ
パノハSQ
パノハSQ
レコーディングスタジオ入り口(写真右)
とモニタールーム(写真左)
スタジオ
カルロヴィヴァリ
カルロヴィヴァリの街並み 
ドヴォルジャーク
 ドヴォルジャーク像
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