カメラータ・トウキョウ レコーディング・ニュース
 
ドメニコ・ツィポリ:オルガン作品集/クラウディオ・ブリツィ
  2004年9月13〜15日 Museo di Santa Croce, Umbertide, Italy

 カメラータのイタリアでの録音は、このところペルージャから35Km北にある人口14,500のウンベルティーデにある聖フランチェスコ教会で行うことがほとんど。今日ではポラマンチョとシニョレリの絵があることから、サンタ・クローチェ美術館と名乗るようになり、土曜日と日曜日は観光客に美術館を開放している。
 今回は9月13日の月曜日から3日間、この施設を町から借り受けてクラヴィオルガンを使ってのドメニコ・ツィポリのオルガンとチェンバロのための、世界で初録音となる作品全集の2回目のレコーディングである。
 教会の横を流れるテベェレ河は200Km先のローマに通じる。イタリアの田舎は素朴で、人はやさしく、物価も安い上に治安も良い。その上、ワインはここでしか飲めない最高級の物が、格別安い値段で手に入る。もちろん料理も文句なし。

 オルガニストのクラウディオ・ブリツィは我々より3日も先乗りして、楽器をセットし、レジスターを試し、録音する作品の最終的な音を模索した。

 ドメニコ・ツィポリ Domenico Zipoli(1688〜1726)のことを少し紹介しておこう。バッハより3才若いツィポリは、作品を聴くとフィレンツェ出身でルイ14世のもとで活躍したリュリ(1632〜1687)の様式をほぼマスターしていると言えよう。1716年にイエズス会に入ったことから放浪(?)がはじまり、その生涯は謎に満ちたものとなる。※スペインのコルドバに赴いたあと、使命とは言え南米のパラグアイまで足を延ばしていて、リマのペル総督から作品の注文を受けている。

 1717年に出版された「Sonate d'intavolantura per organo, e cimbalo」が、今日作曲家としての彼の存在を証明するもとになっているが、手書譜は存在しない。
 この出版譜の録音は現在、2枚のCDが出ている。イタリアのレーベルTACTUSのものが手許あり、出版譜は現在SM(Süddeutsche Musikverlag)から2巻に分けて大半の作品が出ている。にもかかわらず、近年、想像もつかないところ、たとえば南アメリカ等から彼の手書きの作品が発見されていて、このSMの出版を監修したフェルナンド・タリアヴィーニ(彼が出版譜を全曲録音した盤があるはずだが、今はカタログには見つからない)も1957年に後書きを書いた頃はその5曲ものオルガン作品が見つかるとは思っても見なかったに違いない。

 ブリツィによる、このツィポリ全作品集の録音は、オルガンの録音にとって、きっと重要な仕事となると確信している。
(井阪 紘)

[★CDは2007年8月、CMCD-20082〜3として発売]
クラウディオ・ブリツィ
ブリツィと井阪(左)
クラウディオ・ブリツィ
 クラヴィオルガンを演奏するブリツィ
クラウディオ・ブリツィ
サンタ・クローチェ美術館
クラウディオ・ブリツィ
録音のセッティング
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