カメラータ・トウキョウ レコーディング・ニュース
 
モーツァルト:ディヴェルティメント K.334/ウェルナー・ヒンク&イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ
  2003年4月12日〜14日 Museo di Santa Croce, Umbertide, Italy

 今年はイースターの休暇が4月末と遅く、その時期を利用して念願のモーツァルト「ディヴェルティメント」K.334(K320b)の録音を、ウィーン・フィルの第1コンサート・マスター、ウェルナー・ヒンクとイ・ソリスティ・ディ・ペルージャで、4月12日から14日、イタリアのウンブリア州ウンベルティーデの〈聖クローチェ美術館〉にて行った。

 この録音のコンセプトは K.334のディヴェルティメントが、往々にして大きな編成の室内オーケストラや、カラヤンのようにベルリン・フィルを使ったレコーディングもある中で、恐らく本来はこんな形で演奏されたであろう、第1ヴァイオリンを基本的にソロとして扱っての録音である。プリモ・ヴィオリーネはヒンク一人。第2ヴァイオリンとヴィオラが各2名。それにチェロ1本、コントラバス1本。ホルンは2本で、楽章によっては音を柔らかくするため、第2ホルンをファゴットに変えて録音した。
 ヒンクとイ・ソリスティ・ディ・ペルージャは、昨年の草津音楽祭でこの曲を共演しており、その前にも昨年8月1日にペルージャで、ウィーンのスタイルを身につけるためにコンサートを行って、レコーディングには万全の準備がなされていた。

 このディヴェルティメントにファイルアップする選曲も、このアルバムの重要なコンセプト。恐らく当時のザルツブルクではこんな形で演奏されていたであろう、先ず同じ調性のニ長調の「マーチ」K.445(k320c)を冒頭に。これは当然ディヴェルティメントK.334と同じ編成でホルン2本だが、レコーディングでは弦楽を増やしてイ・ソリスティ・ディ・ペルージャの全メンバーが参加した。
 このマーチのスコアにも次のような添え書きがしてあって、まさにこの2曲はペアで演奏されていた事がうかがえる。それは“Zur Zusammengehoringkeit von Marsch und Divertiment vol. Vorwort”と、ベーレンライターの原典版にも記載されている。

 この2曲で50分以上の音楽が収録されているが、ヒンクのアイディアもあって、もう1曲、K.250の「ハフナー・セレナーデ」より第4楽章のロンドも収録した。「ハフナー・セレナーデ」の中でも比較的編成の少ないコルネット2本、ファゴット2本、フルート2本と弦楽。

 録音の後はペルージャとチタ・ディ・カステロの二つの都市で、ヒンクをゲストにモーツァルトの「コンチェルトーネ」と「コンチェルタンテ」を含むプログラムでコンサート。我々はカメラータCDのイタリア発売記念を兼ねた記者会見を行った。
ヒンク
ウェルナー・ヒンク
ヒンク
イ・ソリスティ・ディ・ペルージャのメンバーと
ヒンク夫妻(写真右)
ヒンク
〈ミューズ・デ・サンタ・クローチェ〉での録音風景(写真上、右下、左下)
ヒンク ヒンク
ヒンク ヒンク
ペルージャ(写真右下)とチタ・ディ・カステロで行われたコンサート。
モーツァルトの「コンチェルタンテ」(写真左上)はヒンクとルカ・ラニエリ(va)、「コンチェルトーネ」はヒンクとパオロ・フランチェスキーニ(vn、写真右上)がソロをつとめた。
ヒンク
【レコーディング・ニュースINDEX】
  ■HOME  ■NEWS  ■CD  ■CONCERT
■お問い合せ:TEL. 03-5790-5566 
       FAX. 03-5790-5562 
メール