Camerata Recording News

 草津アカデミーの余韻に浸る間もなく、レコーディングのために9月12日にウィーン入りしました。
 今回はピアノを中心としたセッションが3つ。岡田博美とウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団はブラームス「ピアノ四重奏曲全集」にむけての録音が順調。井上直幸は、いよいよカメラータで録音再開。第1弾はシューベルトとベートーヴェンのウィーン・クラシックを本場ウィーンで。
 そして今回もっとも大きなプロジェクトとなったのは、ウィーン・フィルの主要メンバーのサポートを得て、遠山慶子待望のモーツァルト「ピアノ協奏曲 第20番 K.466 ニ短調」の収録。準備には細心の気配りが必要で大変でしたが、最高の仕事になりました。満足げなアーティストたちの表情をお確かめ下さい。 (プロデューサー・井阪 紘)


(1)9月13日 
  岡田博美とウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団
 この夏ザルツブルクで共演して、すでにステージにも乗せて充分に練習が積まれたあとのブラームス:ピアノ四重奏曲 第3番 ハ短調 作品60は、ロンドンより岡田がウィーンに飛んで、いつものスタジオ・バウムガルテンにスタインウェイのグランドを持ち込んで収録されました。岡田は相変わらず完璧で2日間予定してあった録音日を1曲だけとあって1日でクリア。翌日は岡田さん、ウィーンの休日をブラームスの行きつけのレストランやカフェを巡って楽しみました。
[★CDは2002年3月、20CM-666〜7として発売]
岡田博美とウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団
(2)9月14日〜16日 井上直幸
 春秋社より刊行の「ピアノ奏法」がベストセラーとなって注目の井上直幸は「カメラータ」へ10数年振りにカムバック。今自分が弾けるピアノ音楽のすべてに、永年の経験と熟考を重ねた演奏で、さすがに年輪を感じさせる音楽。何とか良い形で自分の音楽を定着させたいと念願しての意欲的な再出発となりました。
 当初はスイスのルガーノ(現在、井上は年の半分をここで暮らして練習している)を録音場所に予定していましたが、これは来年の4月に延期して、岡田博美の録音の後、継続してスタインウェイを使ってのスタジオ・バウムガルテンでの収録となりました。曲目はベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第31番 変ホ長調 作品110とシューベルトのピアノ・ソナタ イ長調 D.959 遺作。
 来年度は企画の新しくなったカザルスホールで3回のリサイタルを行う予定ですが、その第1回にあわせて第1弾CDがリリースされます。井上は初めてのウィーンでの、久しぶりの録音を心から楽しんでいました。
[★CDは2000年2月、CMCD-15079(オリジナルは28CM-584)として発売]
井上直幸
(3)9月22〜23日、26日
  遠山慶子、イェルク・エーヴァルト・デーラー
 ザルツブルク音楽祭の後ベルリン、ルツェルンなどの旅行から帰ったウィーン・フィルの9月のスケジュールは、13日よりロリン・マゼールを迎えての定期演奏会の練習と特別コンサート。その後、9月27日より10月12日までの、ニューヨーク5日間の滞在で4つの違ったプログラムでの4回のコンサートを含む、南米旅行が控えていました。9月22日,23日,26日の3日間、まさにここが唯一のフィルハーモニカーにとってフリーなスケジュールを使い、ウェルナー・ヒンクを中心にオーケストラの主要メンバー27名を結集して、遠山慶子をソリストにモーツァルトの「ピアノ協奏曲 第20番 K.466 ニ短調」が収録されました。
 メンバーは弦のリーダーにコンサートマスターのウェルナー・ヒンク(ヒンクは19日、ウィーン・フィルの旅行前の特別コンサートとなるオール・R.シュトラウス・プログラムで「ツァラトゥストラはこう語った」や組曲「ばらの騎士」のソロを見事に奏し、ウィーンで最も権威ある批評家シンコヴィッチの評では『これこそまさにウィーン・フィルのR.シュトラウス。これを支えて実現させたのはヒンクのヴァイオリン』と絶賛されました)を中心に、第2ヴァイオリンの頭はペーター・ヴェヒター、ヴィオラはハンス・ペーター・オクセンホファーとエルマー・ランデラー、チェロはフリッツ・ドレシャルとローベルト・ノージュ、コントラバスはヴォルフガング・ギュットラー等、日頃「カメラータ」の室内楽でお馴染みのメンバーが参加。管もトランペットのハンス・ペーター・シューを中心に、フルートはヴォルフガング・シュルツ、オーボエはギュンター・ロレンツ、ホルンのラルス・ミヒャエル・ストランスキー。これも「アンサンブル“11”」のメンバー中心で、本家のウィーン・フィルは代役(トラ)が多い時期にベストメンバーが集まっての最高のオーケストラが得られました。指揮はスイスからヘフリガーのモーツァルトのアリア集(イギリス室内管弦楽団)等でモーツァルトでも卓抜の解釈をみせるイェルク・エーヴァルト・デーラー。
 ポーランド国立放送響とアントニー・ヴィット指揮で2年前に録音した未発売のモーツァルト「ピアノ協奏曲 第21番 K.467 ハ長調」と組み合わせて来春発売されます。
[★CDは2000年7月、CMCD-20086(オリジナルは28CM-577)として発売]
遠山慶子
遠山慶子
遠山慶子
遠山慶子
遠山慶子
遠山慶子
遠山慶子
遠山慶子
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